Level 3

# 超上級編

超上級編③ よりよい資産配分のために

 

今回は、過去2回の本コラム(※1、※2)で解説した資産配分に関する枠組みを利用して、今回のコロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、下落を見せる株式系資産とどう向き合うべきか、解説してみたい。そして近年進んできたリスク許容度に関する研究トピックを紹介したい。

第一回目で、2018年と2019年の各資産のリターンは日本のREITを除いて、逆の動きをしていたことを分析した。次に2019年と2020年(3月末まで)を比較すると、図で示したように逆であり、2019年に上昇した資産ほど、2020年は大きく下落している。コロナ問題を端に発した世界景気に対する見方の大きな変化が深く影響している。

20200410_toshijyoukyuhen03_01.jpg
(出所)ブルームバーグデータをもとに作成。対象指数については文末に記載。

次に、第二回目で言及した資産配分とリバランスについて考えてみたい。コロナウイルスの世界的感染拡大により、世界の景気は、いったん大きく落ち込んでいくものとみられるが、すでに大規模な財政・金融政策が各国で打たれている。時間はかかるだろうが、一つ一つ問題解決を確認しながら、市場は回復していくものと思われる。そこで、もう一度、リバランスについて確認していこう。

仮に株式に50、預金に50の配分で運用を始めたとする。預金金利はゼロと仮定する。昨年までの上昇相場で株式が60になったが、今回の下げで株式が40に減少し、全体で90になったとしよう。この例での株式の下落率は33.3%である。また株式比率は44.4%であり、スタート時と比べて5.6%下方に乖離している。
したがって、株式への配分を50%で維持するには、預金50から5を株式に投資して、株式45、預金45にする必要がある。次に株式がその後20%上昇すると仮定しよう。株式は元の水準の8割に戻ったということである。

以上の前提の下で、株式への配分を50%で維持する場合、すなわちリバランスを行なうと、株式45が54になり、預金の45を足すと99になる。一方、リバランスしない場合は、株式48、預金50で98である。リバランスした方が、より効果が高いことが示される。

もちろん、頭では理解できても、新たに投資するのは心理面で難しいかもしれない。その場合は、時間経過に伴って生じてくる株式の配当や投資信託の分配金を活用して、リバランスを行なうのも一手である。また、積立投資を行なっているのであれば、株式への積立投資配分を増やす方法もあるだろう。これら2つは、時間分散しながらリバランスを実質的に行うものであり、預金から直接資金を捻出するわけではないので、市場変動に対する心理的負担を緩和するだろう。どのような手段をとるかは、資産運用にあてられる資金状況と資産配分維持に関しての乖離の許容度とのバランスと言えよう。

さて、リスク許容度は男女で違うことが研究で分かってきている。男性の方がリスク許容度は高いが、それはテストステロンという男性ホルモンに関係するようである。かといって、男性の方がパフォーマンスは高いわけではない。余計な取引を行って、かえってパフォーマンスを毀損しているという研究もある。

ここで一つ興味深い研究を紹介しよう。英国の男女の投資家を対象に、「男女のアドバイザーの助言の有無」と「現金比率やリスク許容度等」の関係を調べたものである。

研究結果によれば、女性投資家は、男性投資家と比べて、現金比率が高い。その現金比率は、アドバイザーの助言を受けている投資家(男女とも)の方が低い。一方性別では、男性投資家の場合、アドバイザーの性別にかかわらず、現金比率は同程度の低さであったのに対して、女性投資家の現金比率は、男性アドバイザーの場合は高く、女性アドバイザーの場合は、統計学的に見ると、有意に低い。これは、コミュニケーションに関する男女の反応の違いというべきかもしれない。


資産運用は、経済や市場動向と投資家の意思決定を統合したものである。資産運用業界としての道具立ては、ここ20年で大きく進化してきているし、上記の例のように、投資行動に関する研究も進んできている。心理的なものをどのように克服していくかが、よりよい長期の資産運用の鍵であることは言うまでもない。

(※1)「超上級編① 市場動向と今後の資産運用について
(※2)「超上級編② 資産分散、資産配分とリバランス


当資料で使用した市場指数について

国内株式:東証株価指数(TOPIX)、国内債券:NOMURA-BPI総合、外国株式:MSCI-KOKUSAI指数※、外国債券:FTSE世界国債インデックス(除く日本)、国内REIT:東証REIT指数、外国REIT:S&P先進国REIT指数(除く日本)、新興国株式:MSCIエマージング・マーケット・インデックス※、新興国債券(米ドル建て):JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス※、米国ハイ・イールド債券:ブルームバーグ・バークレイズ米国ハイイールド社債高流動性インデックス※

各指数の著作権等については、こちら
※米ドルベースもしくは現地通貨ベースの指数を日本円に換算して算出。

参考文献)
Ylva Baeckstrom,Ian W.Marsh,and Jo Silvester、Financial Advice,Gender and Wealth:Risk Tolerance,Knowledge and Confidence in Advised and Self-Directed Investors、2018

竹崎竜二「個人の資産運用アドバイスの高度化のために」、NRI金融ITフォーカス、2016年6月号
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/kinyu_itf/2016/06/itf_201606_5.pdf?la=ja-JP&hash=3F53B365F37D48095D9955B05ABAB045626D3827

販売会社

  • 野村證券
  • 秋田銀行
  • 足利銀行
  • 安藤証券
  • イオン銀行※2
  • 池田泉州銀行
  • いちよし証券
  • 今村証券
  • 伊予銀行
  • 岩井コスモ証券
  • 岩手銀行
  • auカブコム証券
  • SMBC日興証券
  • SBI証券
  • FFG証券
  • 大垣共立銀行
  • 岡崎信用金庫
  • 岡三証券
  • 岡三にいがた証券
  • 岡地証券
  • OKB証券
  • 香川証券
  • 鹿児島銀行
  • 関西みらい銀行
  • 北九州銀行
  • 木村証券
  • 九州FG証券
  • 紀陽銀行
  • 京銀証券
  • 京都銀行
  • 京都信用金庫
  • 極東証券
  • きらぼし銀行
  • きらぼしライフデザイン証券
  • 熊本銀行
  • 京葉銀行
  • 寿証券
  • 四国アライアンス証券
  • 静岡中央銀行
  • 静銀ティーエム証券
  • 十八親和銀行
  • 十六銀行
  • 証券ジャパン
  • 常陽銀行
  • しん証券さかもと
  • スマートプラス
  • スルガ銀行
  • ソニー銀行
  • 第一勧業信用組合
  • 第四北越銀行
  • 但馬銀行
  • 筑邦銀行
  • 千葉銀行
  • ちばぎん証券
  • 千葉興業銀行
  • 中銀証券
  • 中国銀行
  • 筑波銀行
  • 東海東京証券
  • 東京スター銀行
  • 東邦銀行
  • とうほう証券
  • 鳥取銀行
  • 名古屋銀行
  • 西日本シティ銀行
  • 西日本シティTT証券
  • 八十二証券
  • 肥後銀行
  • 百五銀行
  • 百五証券
  • 百十四銀行
  • ひろぎん証券
  • 広島銀行
  • フィデリティ証券
  • 福岡銀行
  • 福岡中央銀行
  • PayPay銀行
  • PayPay証券
  • ほくほくTT証券
  • 北洋銀行
  • 北洋証券
  • 北陸銀行
  • 北國銀行
  • 松井証券
  • マネックス証券
  • 丸近証券
  • 三木証券
  • 三津井証券
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
  • 水戸証券
  • 宮崎銀行
  • むさし証券
  • 武蔵野銀行
  • 明和證券
  • めぶき証券
  • もみじ銀行
  • 山口銀行
  • 山梨中央銀行
  • 山和証券
  • 楽天証券
  • 琉球銀行
  • 労働金庫連合会
  • ワイエム証券

各販売会社によって取り扱いファンドは異なります。
詳しくは販売会社にお問い合わせ下さい。

インデックスファンドとは
インデックスファンドとは 特定の市場全体の値動きを示す指数(インデックス)に連動する運用成果を目指す投資信託です。
野村インデックスファンド 愛称:Funds-i(ファンズアイ)
野村インデックスファンド 愛称:Funds-i(ファンズアイ)とは、野村アセットマネジメントが設定・運用を行うインデックスファンドシリーズの愛称です。
商号:野村アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第373号
金融商品取引業の種別:投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業
加入協会:一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会