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# その夢、いくらで叶えましたか?

その夢、いくらで叶えましたか? 第3回

#03 Moe Kobayashi 小林 百絵さん
台湾発 漢方ライフスタイルブランドCEO

もっとカジュアルに、さらにファッショナブルに。
すべての女性を内面から健やかにする、漢方の新しい形。
「漢方の文化を、世の中にもっと広めたいと思ったんです」

多くの台湾人のライフスタイルに根ざす漢方を、日本の女性たちにも知ってほしい──。
大学院修了後、会社員として生活しながらも、その思いを持ち続けていた小林さんは、2つの国をまたぐプロジェクトを立ち上げました。
漢方ライフスタイルブランド『DAYLILY』CEO 小林百絵さんの国境を越えた挑戦は、まだ始まったばかり。

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― 第1部 ―
会社員として働きながらも起業を決意。小林さんを突き動かしたものとは?

-大学院を修了して就職、その1年半後には『DAYLILY』を立ち上げたそうですね。それまでの経緯を教えてください。
大学院時代に友人の王さんから、「台湾において漢方とは特別なものではなく、ライフスタイルに溶け込んでいるもの」という話を聞き、それがずっと心に残っていました。
私は、大学院でデザイン思考やビジネスデザインなどを学ぶ中で、自分には商品を魅力的に伝える仕事が向いているのではないかと考え、広告代理店に就職しました。王さんも別の広告代理店に就職しました。でも、私は就職してからも、彼女の話が忘れられなかったんです。
そこで、入社した年の12月に、王さんに「一緒に起業しないか」と提案しました。漢方の文化がすばらしいということを、もっと広めていきたいという思いが大きくなっていたんです。それから1年ほど、2人の休日に打ち合わせをして、起業に向けての準備をしました。

1店舗目を開業する場所として台湾を選んだのですね。
当初はいろいろな案がありました。もちろん、日本に店舗を出したい気持ちもありました。ただ、王さんのご両親が台湾で漢方薬局を経営していたので、その店舗を一部改装して、ショップインショップという形でスタートすることに決めました。漢方の本場・台湾での起業に対して、不安な気持ちもありました。
でも、困った時には専門家である王さんのご両親にアドバイスをいただくことができると思うととても心強く、安心感を持って一歩踏み出すことができました。

― 第2部 ―
「日本と台湾の架け橋となるプロジェクトを」その思いをアピールして資金を調達。

-起業のための資金はどのように準備したのでしょうか?
私と王さんがそれぞれ資金を出し合いました。加えて、クラウドファンディングも活用しました。店舗が日本になくても、私たちのやろうとしていることに共感してもらうことが重要だと考えたからです。
そこで、このプロジェクトは、日本と台湾の架け橋になるような将来性のあるものだ、ということを丁寧にアピールしました。おかげさまで、目標としていた300万円を大きく上回る500万円を集めることができました。すべての準備が整ったところで、台湾で会社を立ち上げました。

-会社設立の準備を進める中で、どのような点が大変でしたか?
パートナーの王さんと意見がぶつかった時が、大変でしたね。大学院時代から親しくしていましたが、ビジネスとなると、最初はお互いの考えを理解しきれないことも多く、コミュニケーションをとるのが難しいと感じることもありました。そんなときは、彼女のご両親に相談に乗っていただき、徐々にお互いの意見をきちんと伝えることができるようになりました。このように、異なる意見を一つにまとめる難しさというものを感じるときもありますが、『DAYLILY』というブランドを必ず成長させるという共通の目標があるので、何が起きてもその都度議論して進むしかないんです。

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― 第3部 ―
仕事もマネープランニングもポジティブでありたいから。
「仕事もお金も、まずは前向きに取り組んでみる」

-今後の夢を教えて下さい。
漢方を日常でルーティン化するためのサブスクリプション(定額制)サービスや、仕事帰りに立ち寄れるようなドリンクスタンド式の業務形態にチャレンジしてみたいと考えています。このたびついに日本での出店も実現できました。これからも女性たちの「元気に頑張ろう」という気持ちを後押しできるブランドを目指していきたいと思っています。また、自分たちのように世の中に新しいものを生み出したいという人を、投資や寄付などの形で応援できるようになったらいいな、とも考えています。

-会社員から経営者へと立場が変化する中で、お金に対する考え方は変わりましたか?
会社員時代も、経営者としての現在も、お金は心の拠り所となるものだと考える点は変わっていません。
起業した当初は決まった収入がなく不安に感じました。また、小売業である以上、収入よりも先に商品の生産費用が出ていきます。ですから現在も、お金に関する心配がないわけではありません。
ですが、日々の売り上げと向き合いながら、その都度経営方法を検証し、これからもスピード感を持って頑張っていこうと思っています。
個人的には、お金が気持ちの安定や安心感にどれだけ影響しているのか、プライオリティー(お金の優先度)はどのくらい高いのかを普段からしっかり理解するように心がけています。
将来に向けて私が心がけているのは、「何かあった時のために、常にある程度お金を準備しておく」ということです。いまは、事業の運営にかかりきりで、自分の資産づくりについて腰を据えて考える時間がなかなか取れません。でも、将来のためにお金の準備が重要だということはわかっています。時間がない私でも、毎月一定額を積み立てる投資なら、長く続けられるような気がします。資産づくりの選択肢のひとつとして考えてみたいと思います。

-『DAYLILY』とFunds-i、ともに"女性を応援するブランド"という共通点がありますね。
読者に向けて、一言いただけますか?
私は当初、広告代理店での仕事こそが自分に向いていると思って入社しました。でも、仕事をする中で漢方を日本に広めるという新たな夢を見つけ、大きく方向を転換して、今の事業を始める決意をしました。仕事にしても貯蓄や投資にしても、そのやり方が好きかどうか、向き合っていて心地いいかどうか、続けようと思えるかどうかをまずは考えてみることが大切だと思っています。私もそうですが、その答えがわからない段階ではとても悩むと思います。でも、一度決めたならば、そのあとはぶれずにチャレンジ精神を持って実際にやってみること、そして問題にぶつかった時は地道に検証する。それを繰り返すことで、道は拓くものだと思っています!

広い視野と冷静な分析力で、起業から事業拡大までをスピーディーにこなしてきた小林さん。経営やマネープランをしっかり見定め、若い人材への投資も視野に入れている頼もしい姿が印象的でした。
学生時代から抱き続けていた思いを実現した今、次なるステージでの活躍も楽しみです。

あなたは今、どんな夢を描いていますか?
夢に向かって挑戦するあなたを、Funds-iはこれからも応援し続けていきます。

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小林さんが夢を叶えるまでにかかった金額

商品開発・仕入れ費用:600万円

内装工事費・備品等:500万円

HP・ECサイト制作:120万円

台湾への渡航費:40万円

TOTAL:1260万円

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【プロフィール】
漢方ライフスタイルブランド『DAYLILY』CEO
小林 百絵さん
慶應義塾大学大学院修了後、広告代理店に就職。その後退職し、大学院時代の友人とともに2018年、台湾・台北に漢方のライフスタイルショップ『DAYLILY』を創業。2019年9月には2号店を東京・日本橋にオープン。

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